東京高等裁判所 平成5年(行コ)200号 判決
埼玉県北葛飾郡吉川町大字吉川一一八番地
控訴人
株式会社吉川機械
右代表者代表取締役
大澤明
右訴訟代理人弁護士
板垣範之
埼玉県越谷市赤山五-七
被控訴人
越谷税務署長 村瀬慶吉
右指定代理人
矢吹雄太郎
同
時田敏彦
同
早川順太郎
同
野崎宏
主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実
第一当事者の求めた裁判
一 控訴人
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人が控訴人に対して平成三年一〇月二五日付けでした平成二年四月一日から平成三年三月三一日までの課税期間分の消費税に係る無申告加算税賦課決定処分を取り消す。
3 訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。
二 被控訴人
本件控訴を棄却する。
第二当事者の主張
次のとおり付加、訂正するほか、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。
一 原判決三枚目表六行目から七行目にかけての「これは、被告の不注意によるとはいえ」を「被控訴人は、控訴人が『消費税の附加事業者と見込まれる者』であることを承知しており、また、消費税確定申告書の用紙等の送付は、送付すべきリストに基づいて送付し、送付ずみの場合にはそのチェックまでしているところ、控訴人の名はそのリストに登載されていたにもかかわらずあえて送付せず、しかも送付していないことを知っていたのであるから、このような事情があり、それが申告が期限後となったこととの間に因果関係がある場合には、申告が期限後となったことについて、正当な理由があるとすべきである。また、仮に右の書類を送付しなかったことが被控訴人の不注意によるものとしても」に改める。
二 同一〇行目の「すれば」の次に「、控訴人の申告は法人税の調査の際に指摘されてしたものではあるが」を、同裏九行目の「こと」の次に「、及び控訴人の申告が法人税の調査の際に指摘されてしたものであること」をそれぞれ加える。
理由
当裁判所も、控訴人の本訴請求は理由がなく棄却すべきものと判断するが、その理由は、原判決六枚目表一行目の「そのためには」から同三行目の末尾までを次のとおり改めるほか、原判決理由説示のとおりであるから、これを引用する。
「同条項の税率が適用されるためには、期限後申告書の提出が同条項所定の要件を充足することが必要であるところ、控訴人の主張自体から控訴人の消費税確定申告書の提出は右の要件を充足しないことが明らかである上、被控訴人があえて控訴人だけに右用紙等を送付せず、又は送付しないことを知っていたことを認めるに足りる証拠はなく、また、被控訴人が不注意によって控訴人だけが前記用紙等を送付しなかったとの事情があったとしても、このことから同条項を準用ないし類推適用することはできないというべきである。したがって、控訴人の主張は採用することができない。」
よって、原判決は相当であり、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民訴法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 清水湛 裁判官 瀬戸正義 裁判官 小林正)